Structure
耐震等級3の柱の鉄筋
田中コーポラス(RC造、7階建て1階の柱)
耐震等級1 (相当 )の柱の鉄筋
千葉市内某マンション(RC造、5階建て1階の柱)
※ 実際の評価書のレ イ アウ ト を 編集し てい ます
田中コーポラスにおける「耐震等級 3」について
賃貸マンション選びに賃料や立地・利便性の比較を優先し、地震に対する安全・安心の選択が二の次になっていませんか。田中コーポラスからお伝えしたいことがあります。
建物の耐震性の話は、専門用語も多く、時に不動産のプロにとっても難解で、更に不動産の貸し手と借り手で正しく情報が共有されないことが見受けられています。
首都直下型地震の切迫性が危惧されはじめて既に久しく、われわれの日常を襲う災害は年ごとに厳しさを増し、「苛酷化する災害」とも言われています。今年は東京・横浜・鎌倉などに壊滅的な被害を与えた関東大震災から百年にあたります。
地震への備えは、国を挙げて取り組むべき課題であるにも関わらず、実は建築基準法は地震力を見直すことを昭和 56(1981)年以降、実に 42 年以上行っていません。
法改正によって地震力を見直すことは、そのまま新築建物や既存建物の耐震補強のレベルの引き上げ、建物価格の上昇を招き、延いては国有財産や私権(個人の財産)が侵害されることにつながります。これを避けてきた国ですが、平成 12(2000)年には、住宅のいくつかの性能を明示し、誰もが品質を自由に選ぶものとして「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略称;品確法)を施行しました。中でも、地震に対しては、建築基準法以上の地震による力(耐震等級)を選べる項目も整えましたが、賃貸市場では意外と活用は低調です。
具体的には選べる地震による力は、建築基準法と同等の「耐震等級 1」、建築基準法の1.25 倍の「耐震等級 2」、そして建築基準法の 1.5 倍の「耐震等級 3」の三段階です。
このように国や自治体は、建築基準法で市民を地震から守るとしながらも、より大きな地震から身を守る選択は、すでに建築基準法を超えて市民に委ねられています。建築基準法(「認定」等例外は除く)は、あまりにもスタンダード化し、建築基準法さえ満足すれば地震の備えは満たされているかのような思考停止を招き、むしろ最低保証を高品位に見せかけ、価格競争の都合の良い免罪符のようになってしまっているようにも見えます。
事実、品確法によって耐震等級は整えられましたが、実際に「耐震等級 1」を超える鉄筋コンクリート造の賃貸マンションの例はほとんどありません。
このゴールデンウイークの最中には能登半島は、M6.3 の地震に襲われ、石川県珠洲市正院町では震度 6 強と発表されました。東日本大震災の余震域内は今も地震活動は活発です。
確実に迫り来る首都地震の脅威に対し、今回提供する田中コーポラスは、建築基準法の1.5 倍の地震の力を満足する「耐震等級 3」の稀有で高品位な賃貸マンションです。
解説ー耐震等級3とは
年々苛酷化する災害、世界で発生するマグニチュード6.0 以上の地震の 2 割が集中するという日本で、日常生活の安全・安心を守る建物の構造については、長く建築基準法(「認定」等の例外は除く)によって守られてきていますが、この法律の定める地震力は、必ずしも最
大級の力を想定するものではありません。
地震の上限は未知であり、一方、国民が等しく守るべき法律としての建築基準法は、憲法の下で個人の財産権と公共の福祉とが適合するよう、その第1条の「目的」の「最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する」に沿って設計用の地震力が定められ、地震被害を受けては法律の見直しを繰り返し、耐震設計の考え方も変わってきていますが、広く国民に理解されているとは言えないでしょう。
わたしたちが、度々、目や耳にする地震速報の震度階による表現も、元々は地震による揺れの大きさを、体感や被害程度などを考慮して決められていたものですが、1995年の兵庫県南部地震の翌年から、それまでの震度5と震度6がそれぞれ「弱」と「強」に分けられ、計測震度計によって自動的に観測発信されるようになりました。地震による揺れの大きさは、揺れの継続時間によっても、建物の階によっても、棟の隣同士、同じ町内でも、全く異なります。これは地震の揺れの増幅や減衰の性質を示すもので、建物ごとに揺れ方(振動特性)が異なり、震度階の表現は、大凡のくくりの見方(マクロな視点)で、ある程度の幅があります。更に、上限が不明な震度7は、誤解を招く恐れもあり、尺度としては不十分だという指摘もあります。
さて、基準法の耐震設計の考え方は、1981年の新耐震設計法の施行を境にして一変しました。先ず、地震力そのものが、高さ方向で一律のものから、上階ほど増幅されるものに大改定されました。そして、地震と建物の関係も大きく改変されました。1981年より前の旧耐震設計法では地震力に対しては単に建物の耐力(強さ、強度)のみを考えていましたが、地震に対する建物の性能の在り方がより明確になった新耐震設計法からは、変形(かたさ、
剛性)と地震を受ける部材や架構の性能評価も同時に考慮(耐震性能の種別)して、建物ごとの性能種別に応じた、備えるべき耐震性確保の設計が行われています(保有耐力計算)。
これらによって現行の耐震設計は、建物の供用中に数度起こりそうな地震(稀(まれ)地震、50 年に一度程度起きる、目安として震度6弱以下の地震)までは、軽微な損傷で収まる設計(一次設計;許容応力度設計)を確認し、供用中に一度程度は起こりそうな地震(極稀(ごくまれ)地震、500年に一度起きる、目安として震度6強の地震)に対しては、倒壊または崩壊に至らず人命を守る設計(二次設計;保有耐力設計)を確認するという、一次設計と二
次設計の二段階構えになっています。
建物にはたらく地震の力は、経験的にも知られるように、地震の規模(マグニチュード)と震源からの距離、そして建物の敷地の地盤特性の三要因に大きく左右されますが、建築基準法が想定する一次設計と二次設計の地震時の加速度は、具体的には何れかの震源から敷地に伝わってきた地震動が、建物の 1 階に作用するときを基準(ベースシアー)にしており、この値は、一次設計では200ガル(200gal=0.2G)、二次設計では1,000ガル(1,000gal
=1.0G)ですが、建物ごとの耐震性能の種別に応じて、一般的な中低層の鉄筋コンクリート造建物の地上階では、300~400ガル程度の地震動に対する設計が行われています。
今年は関東大震災から 100 年にあたりますが、当時の関東一円を襲った地震は、相模トラフを震源とするマグニチュード7.9(M7.9)の規模と言われております。また、観測史上初めて震度7を記録した1995年の阪神・淡路大震災の兵庫県南部地震の規模はマグニチュード7.3でしたが、同じ震度7を記録した2011年3月11日の東日本大震災の東北地方太平洋沖地震のマグニチュードは9.0でした。
このように巨大化する地震に対しては、個別に更なる安全・安心を求める基準として「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)があり、品確法の10分野34項目に亘る住宅性能表示が定められた内、地震については3つの耐震等級が用意されています。
この耐震等級は、建築基準法の設計用地震力を基準として、同等な地震力で設計された住宅が「耐震等級1」、1.25倍で設計された住宅が「耐震等級2」、1.5倍で設計された住宅が「耐震等級3」です。
「耐震等級3」の地震による力の基準値(ベースシアー)は、一次設計では300ガル(300gal=0.3G)、二次設計では1,500ガル(1,500gal=1.5G)と決められており、一般的な中低層の鉄筋コンクリート造の建物では、この基準値を元に、建物の耐震性能種別に応じて450~600 ガル程度の地震動による設計が行われます。これは、激震時にも機能維持が求められる施設(重要拠点となる官公庁建物や一部の拠点病院)と同等な耐震性を求める設計です。
田中コーポラスは、「耐震等級 3」によるベースシアーの設計によって、一次設計の段階で地震動300 ガルによる設計を行うことで、(計測)震度6弱程度の速報が発せられる状況でも、各階の傾きは1/700~1/2,000程度で使用性に影響が無く、仕上げ材の一部に損傷が出る程度で、ほとんど変形が残らない状態を確保し、二次設計では450~600ガル程度の地震動による、(計測)震度では6強を超える速報時にも倒壊せず、機能維持が可能な設計としております。